希少な認知症とは?
認知症というのは、脳にさまざまな影響を及ぼす多様な病気の総称です。主な原因はアルツハイマー病と血管性認知症の2つですが、他にもいろいろな病気や体の状態が認知症につながります。症例は少ないながら、若いうちに発症することもあり、症状も記憶にまつわるものだけではありません。視覚認知や言語、動きに障害が出たり、行動が変化したりすることもあります。
認知症の人の5%から15%は、症例が少ない、遺伝性または若年性の認知症と診断されています。レア・ディメンシア・サポート(RDS)は、希少な認知症のうち、以下の7種を支援しています。
- 後部皮質萎縮症(PCA)
- 原発性進行性失語(PPA)
- 前頭側頭型認知症(FTD)
- 家族性前頭側頭型認知症(fFTD)
- 家族性アルツハイマー病(FAD)
- レビー小体型認知症(LBD)
- 若年性アルツハイマー病(YOAD)
希少な認知症は、特殊で複雑な課題が伴います。65歳以下の若い人に発症しやすいので、本人と家族の生活にさまざまな影響を及ぼします(仕事、退職プラン、育児や介護の移行など)。
診断結果を受けて、現行の医療や社会福祉サービス、支援団体などを利用しようとしても、自分のニーズに合わないことが多々あります。つまり、既存の認知症サポート団体が対応している状況と異なるのです。その人たちとは、年齢や生活環境、症状がかなり違うからです。
希少な認知症と共に生きる人たちの30%は、最初は誤診を受けており、一般的に理解されておらず、支援のための専用のリソースが不足しています。私たちは希少な認知症の人たちとともに、社会面、精神面、実用面でのサポートを提供し、希少な認知症についての研究や研修も行っています。病状についての認識を高めることによって、コミュニティーとして、希少な認知症の全ての人を、より良く支援することが願いです。
症状と変化
希少な認知症は、タイプによりそれぞれの症状や変化があります。しかし特に病気が進行し、脳の新たな部分が影響を受けると、変種や重複、変異もかなり起こります。こちらの報告書には、RDSが現在支援している7つの希少な認知症についての情報を掲載しています。
認知症による症状や変化は、脳の物理的損傷によって起こる場合があります。こうした認知症の症状は、ほかの身体的な障害と違って、目に見えません。その他にも、人間関係(社会的な環境)や生活(物理的環境)に変化が起きます。
私たちが大切にしているのは、それぞれの認知症がどんな種類かを語りあい、考えることです。それは、その人となりを、症状や病気で限定するためではありません。認知症の人々は、自分は何が得意で何が苦手かを、周囲が理解してくれる方が、生きやすいからです。
レア・ディメンシア・サポートとは?
RDSは、希少な認知症を発症する、または影響を受けている人に、社会面、精神面、実用面での支援サービスを提供しています。そのヴィジョンは、7種いずれかの認知症を発症した人、発症するリスクのある人、または介護している人の全てが、必要な情報や、その人に合った支援や助言を得ることができ、同じような症状の仲間に出会えるようにすることです。RDSは、性別や年齢、既婚・未婚や家族の状況、人種、民族性、性的指向などは問わず、社会のあらゆる立場で希少な認知症に影響を受けている人々を、どなたでも受け入れます。
英国での活動
- 支援 認知症のあらゆる段階において、希少な認知症と共に生きる人たちとその家族に、1対1から少人数、そして大人数のグループでの支援サービスを提供します。
- 教育 希少な認知症と共に生きる人を支える専門家を育成し、認識を高め理解を深めるためのリソースを提供します。
- 研究 個人およびグループの支援サービスや、ストラテジー、治療、そしてパートナーや家族のケアなどについて、研究を進めます。
現在私たちは、7種の希少な認知症の方々4500名以上にサービスを提供し、毎年400件を超える小規模または大規模なグループの会合を開催しています。直接的な支援活動は英国に特化していますが、国際的なパートナーシップの構築には意欲的で、RDSウェブサイトには毎年5万人以上が訪れますが、その大半は英国外からです。
パートナーシップ
RDSは、地域から全国レベルまたは国際的な規模の、慈善団体や医療サービス、研究機関、財政支援機関などと提携しています。たとえば2022年に設立したRDSカナダは、カナダの希少または若年性認知症の人のパートナー支援活動で、ニピシング大学と提携し、ヒラリー・アンド・ガレン・ウエストン財団の出資を受けています。
新たな地域や国の支援サービスを設立し、希少な認知症に関連する医療または社会福祉ケアの専門家の育成をお手伝いします。専門家による講演やレクチャーなども定期的に行っています。さらに詳しい情報は、こちらにご連絡ください。contact@raredementiasupport.org
RDSの略史
RDSの活動は、UCLクイーンスクエア神経学研究所の、認知症研究センター(DRC)を拠点としています。
UCL認知症研究センターは、患者中心の認知症研究の拠点です。アルツハイマー病など一般的な認知症の原因の臨床研究や治験のほか、特に若年性や遺伝性など特殊な認知症を専門としています。その活動で重視しているのは、認知症をもたらす病気のプロセスや、それに影響を及ぼす要因、診断や治療を向上させる方法、認知症の人やその家族をサポートする最善の方法などを、特定し理解することです。研究は、国立神経学脳神経外科病院で運営する、NHSの認識力障害サービスと密接に結びついています。
UCLを拠点としているので、RDSのスタッフと会員は、あらゆる分野の研究者や教育者と接点があります。コンピュータ科学者、エンジニア、言語学者、弁護士など、さまざまな人たちと協力してきました。その確固たる結びつきと新たなパートナーシップによって、研究基盤を築き、活動や戦略の効果を確認しています。この基盤のおかげで、認知症の人や介護者にとって最も大きな疑問や体験、不安要素は何かを研究できるようになりました。実体験のある人は、単に参加するだけでなく、研究のきっかけを作り、形作り、向上させていくのです。